私たちがやりたいこと

  それは、子どもの気持ちや状況を【正しく】理解し、関わるということです。

不登校になった原因は人それぞれです。また、特定できないケースもたくさんあります。ただ、根底に共通しているのは、自分のことを【正しく】理解してもらえなかった経験が多すぎた時に、人は心を閉ざし始めるということです。

 

 子どもが不登校になった時、大人は一体何がいけなかったのだろうと考えます。親の愛情が足りなかったからなのか、担任の情熱が足らなかったからなのか、社会の環境や学校のシステムが悪いからなのか、様々な推測をします。(もちろんこれらのことが一因となっている場合はあります。)そして、このままではいけないと子どもを無理やり外や学校に連れ出したり、身体を動かせたり、または一切刺激を与えずにそのままの状態にするというケースもあると思います。そういう試行錯誤をしている間に子どもは傷つき、心身ともに疲弊して一切部屋から出てこなくなります。

 

 ここに決定的に足りないのは、決して愛情や情熱という人によって基準の違う曖昧なものではなく、子どもの気持ちや状況を周囲の誰かが【正しく】理解するということです。正しく理解できると、子どもが必要としているものや情報を提供することができますし、心底共感ができます。子どもがこれから人生を歩いていく中で、学校に行かないことというのは問題ではありません。周囲に理解者や味方がいないと感じたままで生きていくということが本当の問題だと私たちは考えます。

 

 このアプローチがされていないが故に引き起こされる結果があまりにも多いと私たちは感じています。不登校や引きこもりは一つの現象です。非行、リストカット、自殺、発達障がいから併発するうつ病など…。これらの根底にあるのは「到底自分は理解されない人間なんだと幼い頃からずっと経験し続けてきた」こと。この痛みや寂しさがどれだけのものだったかを想像しながら私たちは日々子どもと接しています。

 

≪保護者の方へ≫

 

私たちは子どもを理解するときにまずは以下のことに気をつけて「聴く」ことに徹します。

 

・ 子どもが話をしている時には絶対に口を挟まないこと。

 

・ 子どもが言葉を発しようとしている時には時間がかかっても待つこと。

 

・ そして、一番大切なのは「評価をしないこと」です。

子どもが話している最中、浮かんでくる雑念は全て評価に繋がってしまいます。

(「何が言いたいんだ」、「こんな考え方をしているからいけないんだ」とか、「ここでガツンと言ってやらないと」とか…)

 

 

 子どものどこに本音があるのか、丁寧に丁寧に「聴く」という作業をすることで本音を探っていきます。もしかしたら、本人自身もよく分かっていないということや、そもそも「何もしたくない」ということが本音かもしれません。でもそれが子どもの本音であるならば、そのことを【正しく】理解することが私たちの仕事だと考えています。

 自分の想いを話す中で「あぁ、やっと自分の気持ちを分かってくれた」と感じた時、自分の意志で進みだします。この考えに賛同して下さる親御さんはぜひご相談下さい。

 

≪地域の方・学校の先生方へ≫

 

 私たちは学校のシステムややり方に反対してこの「サードプレイス」を作ったわけではありません。子どにとっての良き理解者が社会にたくさんいれば子どもは幸せになると思いました。良き理解者になるためには学校や会社という組織に属しているよりも、「サードプレイス」(家でもなく、学校でもない)第3の居場所を作った方が私たちの想いを実現しやすいと思ったのです。子どもにとっての理解者であるという点では学校もフリースクールも地域の方々も同じです。少子化ということは、一人の子どもに関わる大人の数が多いということです。関わる大人の数が多いので、愛情や時間、お金をたくさんかけている、子どもを大切にしていると大人は思ってしまいます。もちろん大切にしていることは事実なのですが、それは子どものことを【正しく】理解することと必ずしもイコールではありません。

 ますます価値観が多様化し、個々の発達のスピードや興味の方向性、または好き嫌いや能力を発揮するところが違ってきています。自由に振る舞う子どものことを理解できなくなったとき、「発達障がい」という言葉でひとくくりにするというケースも多々あると感じています。だれもが自由に自分の「こだわり」を大切にのびのびと生きてもいい時代が来たと私たちは理解しています。私たち大人は、まず子ども一人ひとりが感じていること、考えていることを正しく理解することから始め、次にその理解の上で彼ら個々の成長を支援していくことが必要なのではないでしょうか。

 子どもの成長を見守り支援する仲間として、私たち「サードプレイス」のことを知って頂けると嬉しく思います。